ダンレック山地の北斜面を利 用した山岳寺院です。9世紀末、ヤショ ーヴァルマン一世と言う王様によって創建さ れたあと、11世紀前半にスールヤ ヴァルマン一世によって大幅に改修されました。一般的なクメール寺院とは異なり、ここでは例外的に南北軸が伽藍の基軸となっています。大まかな全体構成としては、5つの塔門が北から南へ水平距離約 800mにわたり、一直線上に配置されています。山頂へ向けて標高約 100mを登りながら参詣することになります。第一塔門から北側へ石段 を下りた谷はタイとの国境で、南側山頂は断崖絶壁となり、広大な カンボジアの大地を見渡すことができます。
訪問時に最初に見える第一塔門は2000リエル紙幣の図柄に採用されており、構造美を見せます。ここから東へ向けて古代の小道があり、石段が山の裾野まで続来ます。歩行者のために木造の階段が整備されていますが、標高差500m弱あるため体力に自信のない人にはおすすめできません。第 二、第三塔門は水平に伸びる姿が美しいです。元来屋根は木造瓦葺きでありましたが、現在では失われて石造部分のみが残ます。